観光産業振興プラン(案)について

                      2001・11・5 河野ゆりえ

 

  観光振興を進めていくことは大切なことであると認識しています。

 『観光』は、訪れた国や都市の歴史、文化、産業などを見聞することとあわせて、人と人の交流が深められていく大事な意義をもっています。

 観光振興を考えるうえで、重要なことはいくつかあると思いますが、そのうちで、主なものとして、第1に観光資源の問題、第2に受入施設、第3にアクセス、第4にコスト、経済的負担の問題があるのではないでしょうか。

 

1、東京の観光資源

@   各国の観光パンフレットをみると、歴史的遺産や貴重な自然景観、芸術・文化、伝統芸能、ショッピングなど、その国、その都市ならではの観光資源が魅力になっています。東京の観光資源をどのようにうちだすのか、あらためて、考えていく必要があると思います。

平成11年(一昨年)11月に出された「東京都観光事業審議会」の答申では、外国人観光者の観光行動やアンケート調査などによる東京の観光資源の評価がされています。

これを見ると、「概して欧米系の人々は、伝統文化や歴史的遺産などへの関心が高く、アジア系の人々は東京の最新スポット、テーマパーク、買い物などへの関心が高い」とあります。

同時に、「東京の歴史・伝統的な資源は、京都や奈良などの日本を代表するような歴史的建造物などは少なく、伝統工芸、祭り、寺社の年中行事や門前のにぎわいといった生活文化として受け継がれていたり、大名屋敷の跡地が庭園などとして残っているなどの特徴がある。しかし、解説や詳細な情報なしには見過されやすい面があり、資源として十分に活用されているとはいえない」ということも述べられています。

これは、重要な指摘だと思います。

その点で、「江戸・東京400年の歴史と文化」を伝える建造物の保存や施設づくりなどが必要になってくると考えます。

 これまで、都内では都市開発で、大切な資源が失われて来ている上に、東京都は文化予算を削減しているのが現状です。

 これから「観光産業振興プラン」で新たな取り組みをはじめるにあたっては、貴重な文化的観光資源を保存し普及していくための財源を確保し、東京都の姿勢を示していくことが求められています。

 

A   また、東京への観光客は、海外からだけでなく、国内、さらには都内や首都圏といった圏域からも需要があることを視野に入れること、そして、どのような圏域からどのような期待をもって観光にくるのか、それぞれに違いがあることに考察がなされなくてはならないと考えます。

海外からの観光では、先に述べたような視点に立たなくてはならないでしょうし、国内の観光客にとっては、銀座・原宿・渋谷などが魅力になるし、多摩や島嶼での観光は都民や首都圏の人たちに歓迎される要素があります。

この点で、「ビジョン」の素案は整理がされておらず、全体として海外からの観光が強調されている傾向があるように感じられます。

 

2.受入施設  4.コスト.経済的負担について

   東京に観光客を誘致するうえで、ホテルやコンベンション施設などの受け入れ施設の問題があります。

 「プラン」の30ページに、東京の良くない点として、「東京はホテル代が高い」と答えた人が比率として高く第1位になっています。実際に、国際フォーラムが出来た時、周辺に利用者が使えるような料金のホテルがなく、コンベンションの誘致が困難だったという話しも聞きました。

 東京の高コストの構造をどう改善していくのか、これも焦眉の課題です。

今、計画されている「東京メガロポリス構想」や「都市再生」は、企業都市づくりをこれまで以上に促進するもので、高コストの構造をもっと増幅するものになってしまいます。これでは、改善するというより、むしろ観光振興をますます困難にしてしまうのではないでしょうか。

 先ほど、局長から新しい税ということで「ホテル税」のお話しがありましたが、これは経済的な負担をもっと増やしてしまいますから、慎重に検討すべきと思います。

 安くて、快適に利用できる宿泊施設を整備していくこと。加えて、高齢者や車椅子使用者などの障害者にとって、安心して利用できる宿泊施設の整備と、町全体のバリアフリーの促進、ボランティア活動による観光のサポート体制なども、具体的に目に見える形で取り組んでいくことが大事だと思います。

 

4.アクセス

   成田〜東京間のアクセスの改善は課題ですが、東京は交通網が発達していて便利な都市であるといえます。羽田空港の再拡張については、現在でも私のすんでいる江戸川区では、天気にもよりますが、航空騒音がひどいと、江戸川区の環境部に苦情がよせられています。こうした状況をふまえて、横田の飛行場のことを含めて、全都民的な検討が必要になっているのではないでしょうか。

 

 

5.カジノ構想について

  カジノを東京へ、という考えには賛成できないことをもうしあげておきます。東京では都民世論で、公営ギャンブルを廃止させてきた歴史があります。現時点では、カジノ構想について、都民の合意は形成されていません。

「カジノが東京の観光資源になるとは思えない」と、観光に詳しい専門家からも意見が寄せられています。現在、台湾や韓国・シンガポールなどのアジアにいくつものカジノがあり、ラスベガスなどにもおおくの人が出かけていっていることを考えても、あえて東京にカジノが必要かということでは、疑問を持っている人は少なくありません。

青少年への悪影響や犯罪とのかかわりなど、都民生活に重大な影響を及ぼす懸念もあります。

 東京の都市としての品格を考えて、本当の東京のよさを知ってもらうことが大切で、現時点で『観光産業振興プラン』にもりこむべきではないと考えます。

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